『スーパーカブ』
トネ・コーケン/著(KADOKAWA)
今回紹介してくれたのは… 葛西図書館 木村さん
〈おすすめコメント〉
本書の主人公は山梨のとある高校に通う女子高生、小熊。
彼女の父親は幼いころに事故で亡くなり、母親は高校進学と共に失踪、頼れるような親類や友人もおらず、奨学金で細々と一人暮らしをしています。
とりわけ没頭できるような趣味もなく、淡々とした日々を過ごすひとりぼっちの彼女は、ある日、「人を三人死なせている」中古のスーパーカブと出会います。
免許を取り、そのバイクを買うことに決めた小熊。孤独な少女と、いわくつきのカブの新しい日々が始まります。
通学、旅、アルバイト、そして初めてできた友達。「ないない」ばかりだった小熊の日常がささやかに動き出します。
とるに足らない毎日も、小さなきっかけで大きく変わりうる、そんなことに気づかされる一冊です。