つながりの大切さを感じた一年
江戸川区花火大会は4年ぶりに、区内最大規模のイベントである区民まつりは5年ぶりに開催。地域で夏祭りや盆踊りも多数開催された。「私も、今年は盆踊りを踊ることができました」と笑顔。
区民まつりには、55万人(主催者発表)が来場。パレードや模擬店、体験ブースなど、いつもの景色が戻ってきた。「コロナ禍以前の状況に戻ってきているのがうれしい。人とのつながりの大切さを改めて実感した年になりました」
区内外から注目された「魔法の文学館」
葛西海浜公園のラムサール条約湿地登録5周年や、自然動物園の開園40周年など、昨年は葛西地区に良いニュースが続いた。11月にはなぎさ公園内に「魔法の文学館」がオープンし、区内外から注目を浴びた。
四季の移り変わりが感じられるロケーションで、子どもたちは、館内の大階段や小さなおうち型の椅子に座ったり、外に出て芝生に寝ころんだりと好きな場所で本を読むことができる。
利用者からは「家で本を読まない子が夢中になって読んでいた」「最後まで聞いてくれなかった読み聞かせを一冊終わるまで聞いてくれた」などの声があったという。
「子どもたちは皆、読む力を持っているんだと感じます。館内にある本は『一冊を読み終えられる』ものがセレクトされています。読み終わったら、ワクワクドキドキが広がり、新たな自分の世界をつくっていただけたら」
文学館は「まだまだ進化できる」と斉藤区長。「館長で児童文学作家の角野栄子さんもこれからさらに作品をお書きになられると思います。角野さんと相談しながら、子どもも大人も楽しめる文学館にしていきたい」
2100年の江戸川区を見据え実行する年
江戸川区は令和3年に、2100年に向けて「共生社会ビジョン」を策定した。昨年9月には、その理念を実現するための具体的な取り組みをアクションプランとして取りまとめた。
「今年は実行の年になります。一度作った計画は変えないというやり方もありますが、この計画はどんどんアップデートしていきたい」
気候変動の影響を受けやすい地域であるため、区が率先して「カーボン・マイナスの実現」にも真剣に取り組んでいく。また、区内に9000人と言われているひきこもり支援にも注力。就労支援として駄菓子屋「よりみち屋」を昨年2月にオープンし、運営している。「ひきこもりの方の支援には、9000人いれば9000通りのサポートの仕方があると思っています。駄菓子屋には居場所が併設されているので、様子を見ながら就労体験ができます。半歩後ろでそっと寄り添うようにしています」
また、ひきこもり支援でも活用した仮想空間を使い、現実の役所と同じように手続きができる「メタバース区役所」を実証実験中だ。
「区役所と同じように、総合案内があり、サポートする職員がいれば、手続きや相談がしやすくなる。どんな人でも来庁することなく自宅などから簡単に手続きができる『メタバース区役所』は、究極のバリアフリーの姿でもあると思っています」
◇「江戸川区で暮らす皆さんが、どんな立場の人でも元気な気持ちでいられる、そんな一年にしたい」と話す斉藤区長。
「われわれ職員一同も元気にがんばります。今年も、誰もが暮らしやすく、魅力あふれる江戸川区に向けて、尽力していきます」
新型コロナウイルス感染症が5類になり、人の交流やイベントが戻ってきた昨年。年頭にあたり、斉藤猛江戸川区長に昨年の区政の振り返りと、今年のまちづくりについて話を聞いた。