公開日: 2023年12月21日

専門家に聞く 知っておきたい相続Q&A

浦安新聞
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相続手続きに関するさまざま疑問を

司法書士法人オールシップ市山智代表に解説してもらった

 

Q 私たち夫婦には子どもはいません。私が亡くなった際の財産は、すべて配偶者が引き継げますか?

 子どもがいないご夫婦の一方が亡くなった場合、配偶者が遺産すべてを自動的に引き継げるわけではありません。
配偶者だけではなく、亡くなった方のご両親や兄弟姉妹も相続人になる場合があります。例えば、亡くなった方の親が存命の場合、相続人は「配偶者と親」になります。また、ご両親どちらも亡くなっている場合は「配偶者と兄弟姉妹」、兄弟姉妹が亡くなっていればその甥姪にまで相続権が広がります。配偶者はこの相続人との間で、遺産について話し合いをする必要があります。もし、これらの相続人と疎遠だったり、関係が良好でない場合、遺産分割の話し合いが進まなかったり、トラブルに発展してしまうこともあり得ます。

 

Q 子どもがいない夫婦の相続についての対策は?

 ご自身が亡くなった後、配偶者に全財産を遺してあげたいという場合には、事前に適切な対策を講じる必要があります。
対策方法はいくつかありますが、一つは遺言書を作ることです。
遺言書を作成しておけば、ご自身の意思に沿って相続財産を分けるように決めておくことができます。仮に、すべての遺産を配偶者に相続させたい場合に、そのような内容の遺言書を作成しておけば、他の相続人に協力してもらわなくとも、遺産をスムーズに配偶者に承継させることができます。
遺言のほか、夫婦で暮らす自宅を配偶者に生前贈与することも対策の一つになります。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で自宅の贈与がされた場合、原則として、遺産分割の際に自宅を遺産の先渡しとして考慮する必要がありません。また、この場合、一定の条件のもと、贈与税の基礎控除110万円のほか、最高で2000万円まで、つまり、居住用不動産の贈与税上の評価額が2110万円以下である場合には贈与税がかかりません。
その他に、生命保険を利用することも対策になります。
生命保険の受取人を指定している場合、死亡時に支払われる保険金は、受取人固有の財産であると法律上考えられているので、原則として遺産分割の対象となりません。配偶者が素早く直接に受け取ることができるため、配偶者の生活資金、相続税の納税資金や遺留分侵害額請求への備えなどの活用も可能です。また、相続税の計算の際、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。
いずれも元気な間でないと対策を講じることが難しくなります。あとに残る配偶者がトラブルなく幸せに暮らせるように、元気なうちによく話し合い、対策を行っておくようにしましょう。

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