公開日: 2024年5月23日

5月24日号「いちかわ・行徳俳壇」結果発表!

baychibainfo
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いちかわ・行徳俳壇

たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。

選者コメント

俳句は、季語を伴い、言葉が十七音に圧縮されて韻を踏む詩型です。散文のように、見たもの、感じたものを細かく説明しないで、簡潔に表現する短詩です。「饒舌にならないこと」つまり説明不足が、詩としての余情余韻を生み出すのです。詠み手は「楽しい」「嬉しい」「悲しい」などの感情を直接表現しないで、対象である「物」を的確な言葉に置き換えて、読者に余情余韻を喚起させるのです。高浜虚子は「平明にして余韻のある句」が佳句であると説明しています。

「白牡丹といふといへども紅ほのか」高浜虚子

いちかわ俳壇


 特選

  • 逃げ水の中より現るる宅配便
    (宮久保/正美)

    【評】逃水は日差しが強くなると、地面付近に現れる蜃気楼の現象です。追えばまたその先に蜃気楼が現れるというので「逃水」と言われています。そんな逃水の中から宅急便がやって来るという景を詠んだ句です。逃水を追うという句は多くありますが、反対に逃水から何かがやって来る、何かが現れてくるという逆の発想は珍しく、面白い句になっていると思います。
  • 桜満つ慣れぬ齢に慣れてゆく
    (松戸/若仙人) 

    【評】桜は毎年春に花を咲かせます。人は老いを感じると桜が咲くたびに、齢がまた一つ重なることを実感します。人は一年を経過すれば、常に新しい齢を迎えることになり、七十歳の人は七十一歳の新しい齢となります。しかし、いつの間にかその七十一歳にも慣れてゆき、一年経過した年の桜の満開時には、七十二歳の新しい齢となります。しかし、人はまたその齢にも慣れていくのでしょう。

佳作

  • 囀りに誘ひ出される朝日かな
    (国分/青空)
  • 土器に溢るるばかり花菫
    (葛飾区/白翠)
  • 春風や陶の狸に大福帳
    (八幡/ニアピン)

 

行徳俳壇


 特選

  • デッサンにコンテの椋れ緑さす
    (幸/汐風爽)

    【評】大きな窓のある部屋でデッサンをしているのでしょう。コンテ(クレヨンの一種)は画用紙上では濃淡も出しやすく、面や線もよく伸びます。真白な画用紙にコンテで描こうとした線か面が掠れたのでしょう。一瞬、その掠れた白さに窓外の若葉の明るい緑を強く感じとったのではないでしょうか。静かなデッサン風景が浮かびます。
  • 生家なく父なく母なく彼岸餅
    (幸/やまぼうし)

    【評】彼岸は、菩提寺に先祖の墓参りをするのが風習ですが、この句は、父も母も亡くなり、その父母と暮らしていた生家も無くなってしまい、彼岸餅だけが作者に「彼岸」の意味を感じさせるというとても切ない句です。「なく」の三回続くリフレインがその寂しさを強調させます。

佳作

  • 盛り上るシニア女子会花筵
    (富浜/流子)
  • 保育園はしゃぐ声あり梅雨晴れ間
    (浦安市日の出/満穂)
  • 陽を浴びて背伸びするかなチューリップ
    (末広/無風)

 

選者略歴

峰崎成規。昭和23年生まれ。
俳人協会会員。結社「沖」同人。平成25年第27回千葉県俳句作家協会新人賞受賞。
平成26年「沖」同人、沖新人奨励賞受賞。平成28年第十六回手児奈文学賞受賞。

 

読者投稿フォームにて
「いちかわ・行徳俳壇」募集中
【5/24~6/21募集分】

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