地域サポート 訪問診療
定期的な通院が困難な人や、穏やかな自宅環境でのケアを望んでいる人が利用する訪問診療。
近年、ますます必要性が高まっているが、詳しく知らないがゆえにそのサービスを受けられていない人も多いという。
そこで昨年9月、東葛西に開業した、在宅医療専門クリニック「ホームドクターこつこつクリニック」の森武男院長に話を聞いた。
ホームドクター
こつこつクリニック
森武男院長
年中無休、24時間体制のサポート
訪問診療は、病院への通院が困難な人に対し、医師が自宅や施設に訪れて診療を行い、薬の処方や健康管理を提供するサービスだ。
例えば脳性麻痺や特定疾患、認知症などを抱える人、介護認定を受けている人のほか、腰や膝の痛みがある人なども利用できる。
また、病院での治療を望まず、自宅で穏やかに人生の終末を迎えたいと希望する人に対しては、ケアマネジャーや看護師らと連携し、在宅での終末期をサポートする。
常勤医師が日々患者さんのケアを担当し、年中無休で24時間体制の電話対応を提供。緊急の場合には迅速に駆けつけて診療を行う。
診療内容は、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病から、認知症、うつ病、統合失調症などの精神的な問題まで、さまざまな疾患に対応。必要であれば、血液検査、心電図、レントゲン検査や超音波検査もその場で実施する。
森院長のクリニックでは、内科疾患の診察だけでなく、整形外科専門医の視点から、巻き爪や褥瘡(じょくそう)、骨粗しょう症や関節リウマチ、運動機能の低下、神経内科系の疾患の疑いがあるなどの専門的な診断も可能だという。
「患者さんとご家族の幅広いニーズに対応しています。整形外科医として、患者さんごとのリハビリプランを理学療法士に示したり、リハビリ中に褥瘡に気づいた理学療法士が私に画像を送信してくれ、すぐに処置に向かうこともあったりなど、連携をとって進めています」と話す。
医師や看護師がチームで徹底的に対応
訪問診療を利用するには、近くのクリニックに電話やメールで問い合わせ、自宅や入院先の病院でスタッフと診療方針や訪問診療の開始時期を決めていくというのが大まかな流れだ。
患者さん一人ひとりに対して医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがチームを組んで対応する。
「通院をなかなか続けられない人もいますが、訪問診療は医療提供者が直接患者の元を訪れます。そして容態を定期的にチェックする。これは大きなメリットです。病院まで送迎する手間や時間が不要になるので、ご家族の精神的なストレスも軽減されるのではないでしょうか」
また、森院長は「退院した直後や自宅療養を始めたばかりの時期は、患者さんは不安を抱えていらっしゃる。そんなときは訪問回数を増やしてもらうといいですね」とアドバイスする。
「困った時が相談のタイミング」
ぜひ、早期受診を
江戸川区、葛飾区、江東区、浦安市、市川市など診療所を中心とした半径16㎞圏内を回っているという森院長。
まだまだバリアフリーに対応できていないエリアもあるが、「高齢者の一人暮らしも増えているので、なおさら訪問診療の必要性を感じています」。
「訪問診療は、ただ生活の質を高めるだけでなく、健康寿命を延ばす重要な役割も担っています。私は常々、『困った時が相談のタイミングです』とお伝えしていますが、訪問診療で早期受診することが寝たきりの防止にもつながるので、積極的に利用していただきたい」と強調した。
一般社団法人 亮啓会 ホームドクターこつこつクリニック 江戸川区東葛西5-40-1 サンエクセル英101 TEL.03-6661-4365 FAX.03-6661-4752 |