一緒に体操の実践も
11月26日(日)、市川グランドホテルで、市川市歯科医師会主催の市民公開講座「脱マスク生活で輝くために!」が開催され、約200人が参加した。その多くはシニア世代で、講師の話に熱心に耳を傾け、体操にも積極的に参加していた。
この日は2つの講演が行われた。
最初の講演には、アンチエイジング歯科学会監事の宝田恭子医師が登壇。正しい姿勢を意識することの大切さと、咀嚼、骨との関係などを解説し、泌尿器科医の関口由紀氏と共に開発した「パタカラ骨盤底かかと落とし体操」を紹介した。
「パタカラ体操」は、発声と動作を連動させ、誤嚥予防につなげるもの。そして、「かかと落とし」では、足への刺激で骨のホルモン(オステオカルシン)が出るとされ、骨密度の低下しやすい高齢者や閉経後の女性などに、補助的効果が期待される。
今回紹介の体操は、口腔機能維持のための「パタカラ体操」と、骨盤底機能維持のための骨盤底筋群トレーニング、骨粗しょう症予防のための「かかと落とし」を同時に行うというもの。呼吸法や指・肘のケア、曲に合わせての体操なども織り込みながら、宝田氏の講演は和やかに進んだ。
続いて、福岡のみらいクリニック、今井一彰院長が講演。演題は、「始めよう上流医療~あいうべ体操で心も体も元気に」。鼻呼吸の大切さをクイズ形式で、ユーモアを交えて解説し、「命の入り口である口と鼻をきれいにすることが、病気を減らし、長生きする秘訣。インフルエンザがはやっているが、鼻呼吸で健康維持してほしい」と語った。
人が一日に飲み込む細菌は1・5兆個とも言われるが、鼻呼吸ならば、鼻が天然のマスクとしてごみやチリを除去、加湿、ウイルス不活化などの作用をする。「口呼吸の人が鼻呼吸に変えることで、アトピー性皮膚炎などが改善した事例もある」と症例を紹介。呼吸の仕方によって舌の位置が異なることも解説した。また、呼吸法の修正には「あいうべ体操」が有効であると説明し、全員で体操を実践した。
2つの講演を興味深く聞き入っていた70代の夫妻は、「宝田先生のパタカラ体操を本で読み、もっと知りたいと思って参加した。今日はとても良い学びになりました」と語った。