全国的に減少が著しく、種によっては絶滅の恐れがあるとされる淡水性のシギが、市川市の行徳鳥獣保護区(通称:市川野鳥の楽園)に相次いで飛来した。
シギの仲間は、国境を越えて長距離を渡る鳥で、旅の途中に日本の湿地に立ち寄り、泥の中の生物などを食べて栄養を補給する。
しかし湿地の開発などにともない、この50年ほどで飛来数が激減。蓮田などの淡水湿地を好む種類の多くは、市川市を含む首都圏で姿を消しつつあった。
同保護区では、家庭排水等を使った淡水湿地環境づくりに取り組んでおり、今年は8月下旬~10月上旬にかけて、淡水性のシギであるタカブシギやツルシギ(ともに環境省レッドデータリスト絶滅危惧Ⅱ類)、クサシギなどが、湿地の管理に携わるNPO「行徳自然ほごくらぶ」により確認された。ツルシギは4年ぶりの飛来だ。
同団体の担当者は「以前は100羽以上の飛来が記録された種類であっても、近年は1~2羽がやっとの状態だった。飛来してくれるだけでも重要なこと。保護区は淡水性のシギにとって、市川市南部の最後の聖域です。地域の大切な自然として皆さんにも見守ってほしい」と呼びかける。
行徳鳥獣保護区は普段は立入禁止となっているが、日曜・祝日を中心に保護区内の観察会を実施。シギはすでに渡り去っており、今後はカモや猛禽類、小鳥などのシーズンが訪れる。