人々の暮らしに忍び寄る詐欺の魔の手。近ごろ、中でも「SNS」を利用した詐欺の相談が急増中だという。行徳警察署生活安全課の林課長に話を聞いた。
SNSでの詐欺被害で主なものは、「投資型」と「ロマンス型」の2つだ。
「投資型」の詐欺被害のキーワードは「資産運用」。まず突然投資家や著名人などをかたるものから「有望な株を紹介している」「著名な○○先生が、投資を指導してくれる」などとメッセージが送られてくる。または、グループトークなどに招待される。話を聞こうとすると、相手から「投資すれば利益が出る」などと投資話を持ちかけられる。
「ロマンス型」でよく出てくるのは「将来のために」という言葉。突然異性をかたる者からSNSで「素敵な写真ですね」「(外国の人の名前を装うアカウントで)日本に興味があります」などとメッセージが送られてくる。しばらくやり取りを続けると「2人の将来のために、資産を蓄えよう」などと持ち掛けられる。
行徳警察署管内でも、今年こそまだ被害は発生していないが令和5年は4件で、総額約3400万円の被害があった。「見ていただいて分かる通り、1件あたりの被害額が非常に高額なのが特徴です。また被害には及ばなかったものの、相談自体も非常に増えており、『電話de詐欺』と同等の件数ほどの相談が寄せられています」
また、「電話de詐欺」は高齢者を狙って行われていたが、SNS型の詐欺は「比較的デジタルになじみのあるはずの、20代からも被害が発生している。また投資型では、何十年と投資をしてきたような人でも騙されてしまうケースもありました」と林課長。
「見覚えのない連絡先からメッセージが来たら、すぐ削除する。怪しいと思っても、メッセージを残しておくと『これは本当の話なのでは』と気持ちが変わってしまう人もいらっしゃいます。そして安易にURLをクリックしないこと。不安な場合は、遠慮なく最寄りの交番や警察署にご相談ください」
被害に遭ってしまった人の中には「家族に知られたくない」「もう思い出したくない」という理由から、被害届を出すのを断念する人もいるといい、実際の被害はさらに大きいと言える。詐欺という犯罪は、それほどまでに人の心に傷を残す。
「SNS型は犯人が見えず、全てがネットで完結してしまうため、周囲が止めるのが難しい。一人ひとりが気を付けていただき、被害を防ぐこと。そのための周知徹底を、これからも行っていきます」