『ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語』(新訳版)
ハーパー・リー/著 上岡伸雄/訳(早川書房)
紹介してくれたのは … 市川市中央図書館 山岸さん
〈おすすめコメント〉
『アラバマ物語』と言えば、ある世代の方は、オーバーオールを着たお転婆娘と眼鏡をかけたグレゴリー・ペック演じる弁護士が登場する映画を思い出すのかもしれません。
書庫に眠る旧訳本(暮らしの手帖社 1964)では、表紙や口絵に映画のシーンが写真で載せられ、その雰囲気が伝わってきます。
大恐慌が吹き荒れる1930年代アメリカ南部。
未だ人種差別が激しい中で、白人女性への暴行嫌疑がかけられた黒人男性の弁護に父が就く。
その娘の無垢な視点で、差別と偏見に満ちた時代を生きる親子の愛と良心のあり方を問う、アメリカ文学古典的名作の約60年ぶりの新訳版です。
今回の題名は、原作どおり忠実。さて、ものまね鳥とは誰で、殺すのは罪と語られる意味は?
読み返して人種対立の愚かしさを痛感します。
公民権運動の盛んな頃に刊行された本書には、20年後の父娘の確執を描いた続編 『さあ、見張りを立てよ』があります。
著者が本当に伝えたかったことが伺えて、こちらも併せておススメします。